PC/PS4『DETROIT:Become Human』 プレイ感想
評価: ★★★★★(5)
時間:クリアまで14時間程度(しっかり遊びこむなら40時間程度か)
雑感:二度とプレイしたくない。また、する必要がない。
:とにかく一週目が楽しい。
:面白いが故に、1周目で止める人も多い不思議なゲーム。
【入手理由】
みんなが買えって言うから……。
【概要】
機械が人間よりも知的な存在となった近未来が舞台の話。
人を人たらしめるものはなんなのか。
アンドロイドが真に知性、自我を獲得した時、彼らと人間にある差異とは。
コナー、カーラ、マーカスといったアンドロイドたち、それぞれを操作しながら
複数の決断が彼らを、そしてプレイヤーは襲う。
果たして彼らの決断の先に待ち受ける未来とは……。
【シナリオ】
このゲームの評価の8割は多分シナリオ面だと思います。
単純に良い、悪いという話ではなく同じゲームをしたはずなのに、
同じ物語にならない。
私の物語では死んだ人物が、誰かの物語では生きています。
それってただのマルチエンドなだけじゃないの?と思われるかもしれませんが
本作はマルチエンドというよりは、マルチストーリーというほうが正しいでしょう。
物語のテーマは、アンドロイドに自我が芽生えた時、それは人と差異があるのか。
人を、人たらしめるものはなんなのか、というところです。
人と同じ姿をした彼らですが、当然「者」ではなく「物」と扱われることも多い。
自我が芽生えた彼らは当然不良品として処理されるのですが
それに歯向かう者、それを肯定する者と、キャラクターによって立ち位置は様々です。
プレイヤーは3人の異なる立ち位置のキャラクターを操作し
選択、時にQTEをこなし物語を進めていきます。
どこを確認し、なんと発言し、いかにしてQTEを達成したかあるいはしなかったか
これら全てが物語を変える決定的選択肢となっています。
思うがままに選択した果てにある結末を、どうぞお楽しみください。
【キャラクター】
主な登場人物は四人。
操作キャラでアンドロイドのコナー、カーラ、マーカス。
そして人間で非操作キャラのハンク。
コナー(青年)とハンクは互いに刑事としてアンドロイドの暴走事件を追います。
厳密に言うとコナーは刑事ではなく、交渉人とかアドバイザーの立ち位置ですね。
立ち位置から当然ですが、コナーは暴走アンドロイドを不良品として処理する立場にあります。
アンドロイドとして、アンドロイドを処分することが使命のキャラクターです。
ハンクはまぁ……海外刑事ものでよくある、実は優秀だけど昔事件を起こして不信を拗らせてる系のキャラクターです。
コナー編は基本的に、このコナーとハンクの関係に焦点があてられます。
どこまでもビジネスライクか、相棒か、敵対するか。
それはプレイヤーの選択次第です。
カーラは女の子の母親ないし姉代わりとしてある存在です。
人間とアンドロイドが対立する中、女の子を守るアンドロイドという立場です。
どう守るか、またはたして守り切れるかはプレイヤー次第です。
願わくば最後まで共に寄り添いあうルートに辿り着けることを願います。
マーカスは画家である人間の老人から、『心』を説かれて過ごしてきたアンドロイドです。
人間への希望と絶望、それらをどちらも抱えながら、アンドロイド達の未来をつかみ取ろうと動きます。
人間と接触が多いコナーと違い、最もアンドロイドたちと関わることの多いキャラクターです。
同じアンドロイドでありながら、2人はほぼ対角の存在と言えます。
この2人がどのように混じり合うのかは、これもまたプレイヤー次第です。
このように、一つの舞台の中に、様々な事情をもったキャラクターが現れます。
同じ事件でもキャラクターによって見方がまるで違ってくることが
本作の最大の魅力と言えると思います。
【システム】
美麗なグラフィックの中、キャラクターを操作して物語を進めていくのですが
かなり頻繁に選択肢が浮上してきます。
例えば雨が降っているとして、コンビニの傘を盗むか、他人の家に無断侵入するか、廃車で雨をやり過ごすか、というように
1つの問題に対する解決策が複数用意されており、それらをフィールドを歩きながら選び取って行くのが本作の基本スタイルです。
前作……というか、物語上繋がりはないんですが『HeavyRain』に近いシステムですね。
あれの正当進化がこれです。
物を持ち上げた時に、それをどうするのかが三つくらい選択肢が出たり
誰かに物事を説明するさいに、どういう風に説明するのか選択したり
どこを見て、何を思い、何を発言するのかをプレイヤーが選んでいった結果
物語は決定的に変動していきます。
プレイヤーの数だけストーリーがあると言われるのはそういうことです。
よく「映画のようなゲーム」という評価があり、私はそういうものには
「じゃあ映画でいいじゃん」と否定的なスタンスの人間なんですが、
本作に関しては正に「映画のようなゲーム」と言えるでしょう。
映画のような、でも映画では絶対にできない、正しくゲームなんです。
要所要所にQTEが入りますが、そちらは失敗しても成功しても物語は進みます。
基本的にバッドエンドはありません。
まあだからこそ……失敗したくは、ないものですが……。
【操作性】
前述した『HeavyRain』に比べればめちゃくちゃいいです。
ていうかあれが悪すぎたと言える。
そうですね、まあ普通です。
激しいアクション性を求めるゲームでもないので、3DのADVとしてまあ普通です。
【総評】
死ぬまでに一度はやっておくべきゲームの一つです。
周回をするかどうかは人によると思います。
ただ、全体的にみんな「これは一周でいい」と感じるようです。
私自身も同じです。
正しく自分が信じた選択の果ての未来を見たので、その結末がどうであれ物語に強い納得感があります。
これ以外のEDということは、納得いかない選択を選ぶということで、
それはちょっとなぁ……。
本作のsteamのレビューは非常に秀逸なものが多いのですが、その中で一つ
私が一番気に入ったものを紹介します。